ruruuunのブログ

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あう、あわない推論〜自己学習その1

月刊薬事12月号
「この急性腎障害はアシクロビルが原因ですか?」
を読んで自己学習する。
 
 
特に自分は、被疑薬以外が原因である「もっともらしさ」を考えるのが苦手なので自分の考察、ネット、成書から学んだことを次回につなげられるようにまとめたい。
AKIと診断された時、まず、腎後性、腎性、腎前性かを鑑別する。
DKIも、腎後性、腎性、腎前性が存在するがまずは、上記のうちまず腎後性を除外する。
 
★腎後性の除外
・この例では腎後性DKIの原因となる薬剤は服用していない。
例での入院前併用薬は(用量省略)
エナラプリル、フルニトラゼパムトリアゾラム、ミルタザピン
他、詳細は薬事を参照。
→超音波検査で両側水腎症でないことを確認することで除外。
※腎後性AKI:腎盂以降の尿流障害。泌尿器疾患、悪性腫瘍などにより尿路の狭窄、あるいは閉塞をきたす。
 
★腎前性か、腎性か
腎前性は
腎臓の灌流血流量が減っている状態で、腎臓に器質的変化なし。
生理的な反応である。尿中Na排泄量、排泄率は著名に低下。
原因
・循環血液量の絶対的減少:脱水(イレウス、熱傷)、出血
・有効循環血漿量の減少:心不全、非代償性肝硬変、ネフローゼ
・腎血行動態の異常:RAS系抑制薬、NSAIDS,造影剤
・腎血管閉塞:血栓、塞栓、動脈解離
 
鑑別は次の二つのアプローチ
1)診断的治療:十分量の輸液を投与し(循環血漿量、血圧の維持、改善)2、3日以内に腎機能が回復すれば腎前性と推測。
2)腎前性の診断と尿生化学
 
 
感度
特異度
LR+
LR-
FENa<1%
77%
96%
19.3
0.24
  利尿薬(+)
48%
 
 
 
  利尿薬(ー)
92%
 
23
0.08
FEUN<35%
90%
96%
22.5
0.1
  利尿薬(+)
89%
 
 
 
  利尿薬(ー)
90%
 
 
 
※利尿薬の影響を受けにくいのは尿中UN
※尿中Cl:利尿薬なしでは、尿Cl<20mEq/L以下は循環血漿量低下を強く示唆。
 
例では、FENa 4.7% FEUN 42% 利尿薬服用なしなのでFENaを参考にする。
 
→FENa 4.7% なので FENa >1%となる。
上記の表よりLR+ 23 LR- 0.08 なので腎前性である確率は低いと言える。
 
ここで、あう、あわない推論の三つ目について考察
・輸液負荷や尿所見より腎前性ではないことから脱水によるAKIはあわない
腎前性ではないとされてから、それを推論にあげて、再考するものなのだろうか。念には念を入れるということか。
とりあえず、脱水の鑑別について調べてみた。
 
脱水(hypovolemia)
 
感度
特異度
LR+
LR-
Dry axilla(脇の下)
40-50
82-93
3.0
0.6
Dry mouth
49-85
58-88
3.1
0.4
Longitudinal furrows on tongue
85
58
NS
0.3
Sunken eyes
33-62
82-93
3.7
0.6
Abnormal skin turgor
73
79
3.5
0.3
                               ※evident-based physical diagnosisより
皮膚のツルゴールの低下なければ脱水ではない可能性が高い。
 
●まとめ●
あう、あわない推論をする場合、尤度比を必ず考察に入れるようにしよう!
 
次回は、不確かさもそのままにを自己学習します。
最後までおよみいただきありがとうございます。

高齢でPCI後、6ヶ月以内でスタチン不耐性の場合の脂質管理は?

あけましておめでとうございます。
 
高齢でPCI後、6ヶ月以内でスタチン不耐の場合、脂質管理のための薬はどうしたら良いか。を考えてみたいと思います。
 
Gノート 動脈硬化御三家を参考にしました。
ガイドラインから】
日米英の診療ガイドラインの全てで二次予防では、リスク評価はせずスタチンを用いた薬物療法は行うように勧められている。
二次予防では、LDL-Cの値によらず、全例で薬物療法が適応となる。
 
・根拠
日本人を対象にした心筋梗塞2次予防のオープンラベルRCT
2年間のスタチンの使用により心血管イベント発症率が11.4%→5.9%に有意に減少。
アブストラクトのみ)
 
 
Statins have been shown to prevent coronary artery disease and to preserve left ventricular function in dilated cardiomyopathy. We hypothesized that early use of statins would decrease cardiovascular events, including heart failure in patients with acute myocardial infarction (AMI). To examine the effect of statins in Japanese patients with AMI, a prospective, randomized, open-label trial was conducted in 486 patients with normal total cholesterol levels. Patients were randomly assigned to receive any available statin (n = 241) within 96 hours of AMI onset or no statin (n = 245) and were followed for up to 24 months. The primary end point was a composite of cardiovascular death, nonfatal AMI, recurrent symptomatic myocardial ischemia, congestive heart failure, and stroke. Event rate for the primary end point was lower in the statin group than in the nonstatin group (6.1% vs 11.4%, p = 0.0433). The statin group had a lower risk of congestive heart failure and symptomatic myocardial ischemia (p = 0.0154 and 0.0264, respectively). In conclusion, early lipid-lowering therapy with statins decreases recurrent cardiovascular events, in particular, congestive heart failure.
 
ここで私のCQ
CQ1.スタチン不耐の患者は、この恩恵を受けないことになるが、薬物療法なしだとそのリスクはどのくらい高くなるのか。
CQ2.スタチン以外の薬物療法だと何を勧められるのか。
 
CQ1.スタチン不耐の患者は、この恩恵を受けないことになるが、薬物療法なしだとそのリスクはどのくらい高くなるのか。
 
次の資料のCQ2が私のCQ1に該当するが、その部分に記載あるKLISトライアルは一次予防についてであるので参考にならず。
KLISトライアル
 
そこでこれまでの二次予防のに対してのRCTから推測することにした。
上記の論文からだと
2年間のスタチンの使用により心血管イベント発症率が11.4%→5.9%に有意に減少
よって、NNT=19 絶対差5.5% 相対リスク 48%減
 
もう1つ論文から

MRC/BHF Heart Protection Study of cholesterol lowering with simvastatin in 20,536 high-risk individuals: a randomised placebo-controlled trial.

英国で二次予防患者でのプラセボを対照としたスタチンの治療効果を検討したRCT
 
There were highly significant reductions of about one-quarter in the first event rate for non-fatal myocardial infarction or coronary death (898 [8.7%] vs 1212 [11.8%]; p<0.0001)
期間:5年間
NNT=33  絶対差 3.1% 相対リスク 26%減
 
相対リスク比はともあれ、絶対差3−5%の効果とは臨床的意義のあるものなのだろうか。
uptodateのManagement of low density lipoprotein cholesterol (LDL-C) in the secondary prevention of cardiovascular disease
では、高齢者の項に、絶対的CVDリスクは高齢者の方が高いのだから、スタチン両方で予防されるものは大きいが、個々に考えていくべきとの記載がある。
 
スタチン不耐症と心筋梗塞後の冠状動脈性心疾患および全死因死亡のリスク
後ろ向きコホート研究
 
Compared to beneficiaries with high statin adherence, statin intolerance was associated with a 36% higher rate of recurrent MI (41.1 vs. 30.1 per 1,000 person-years, respectively), a 43% higher rate of CHD events (62.5 vs. 43.8 per 1,000 person-years, respectively), and a 15% lower rate of all-cause mortality (79.9 vs. 94.2 per 1,000 person-years, respectively).
The multivariate-adjusted hazard ratios (HR) comparing beneficiaries with statin intolerance versus those with high statin adherence were 1.50 (95% confidence interval [CI]: 1.30 to 1.73) for recurrent MI, 1.51 (95% CI: 1.34 to 1.70) for CHD events, and 0.96 (95% CI: 0.87 to 1.06) for all-cause mortality.
 
全体として、1,741人の患者(1.65%)がスタチン不耐性を示し、55,567人の患者(52.8%)が高いスタチン遵守を示した。追跡期間中央値1.9〜2.3年の間に、4,450の再発性MI、6,250のCHDイベント、および14,311の死亡があった
The multivariate-adjusted hazard ratios (HR)で
再発MI 1.50[1.30-1.73]
CHD       1.51[1.34-1.70]
全死亡 0.96[0.87-1.06]
スタチン不耐性で再発MI、CHDが起こりやすい傾向だが、絶対差は1%〜2%
スタチン不耐性でもスタチンを服用した場合と比べてイベントが起こるのはさほど問題とならない程度かもしれない。
 
スタチンが不耐だからと言って他の薬物療法を行うことで、懸念されるイベントを予防できるのだろうか。次のCQを考えてみる。
 
CQ2.スタチン以外の薬物療法だと何を勧められるのか。

Management of Statin Intolerance in 2018: Still More Questions Than Answers.

The use of ezetimibe monotherapy is still limited (due to US FDA recommendations in the USA as well as restricted reimbursement in Europe, leading to use in < 5–10% of the patients who require it according to guideline recommendations) [13], and use of the monoclonal antibodies directed against proprotein convertase subtilisin kexin type 9 (PCSK9) tends to be severely restricted by managed care formularies.

エゼチミブはIMPROVE-ITの結果からはスタチン併用での効果の結果であり、エゼチミブ単独ではないし、PCSK9 inhibitorは単独投与はできない。
 
それではなぜuptodateでは次のように記載されているのか。根拠探したが見つからず。
 
For patients who do not tolerate any statin regimen, we start ezetimibe. For those patients whose LDL-C remains above 70 mg/dL, we consider adding a PCSK9 inhibitor.
 
【考察】
高齢で、PCI後6か月、スタチン不耐性の場合、スタチンを服用できなかったとしても心血管イベントが起こるリスクは高くはないのではないか。
代替えの薬物療法でこれといって推奨されるものは今のところないのではないか。
 
一緒に考えてくれたP先生に感謝いたします。
間違いや、ご意見あればよろしくお願いいたします。

EBM教育回診を見学して

今回、EBM-tohokuに参加してきました。EBM-tokyoに憧れ続けていた私にとっては、EBM-tohokuの開催は心躍るものでした。
その幾つかをご報告しますね。
出張EBM教育回診!!
と題されたEBMの普及が目的のものでした。研修医の先生がたの症例をもとに、実際に南郷先生が教育回診の時に行っているように、uptodateやdynamedを用いてエビデンスを探り診療の妥当性を考えていくというものでした。
 
3人の研修医の方の症例の提示がありました。まずはその提示の仕方という形式的なところでの注意点をまとめてみます。
今後、私達が症例検討で気をつけていくべきこととして為になると思いました。
 
【形式的な指摘】
・主訴の次に既往歴を提示しよう
・高脂質血症ではなく脂質異常症と言おう
 全てが高値が問題となるわけではないから
・肝機能は異常なし。と研修医の先生が言われたことに対して
→何を持って異常なしとしたか
→返答 AST ALTの値より
→それならば、肝細胞障害と言いましょう。それでは、肝機能異常とはどういう状態を指しますか?と質問が続きました。
 
・呼吸苦という言葉は、呼吸困難と言いましょう
・「入院となった」というように「となった」という言い方ではなく「〜した」
という過去形で記載しましょう。
 
【症例の中のCQ
EBM教育回診とのことでそこここに感度特異度についての質問や講義がありました。
怒涛のように生まれてきたCQの中で、心に残ったものをいくつか紹介します。
・CDトキシンの感度特異度は?何回検査すればいいのか?
【背景】
ある症例でCDトキシンを数回検査しているのを、その効果はどれくらいか検証しようということに。
感度 73% 特異度 98% LR+ 37,LR- 0.27
CDトキシンは特異度は高いが、感度が低い。その場合は繰り返し行うことで感度、特異度を上げることができる。
 
事後確率
 
事前確率
1回陰性
3回陰性
10%
3%
0.3%
80%
52.8%
8.1%
事前確率10%だと、検査1回で陰性であれば否定できる。
事前確率にもよるが、繰り返し検査することは限定的な効果しかないので行うべきでないとされている。(感染レジデントマニュアル)
→検査の必要性をよく精査して無駄をなくさなければならない。
 
★心に残ったやり取り
・腸閉塞症例で
南郷先生
「今、腸閉塞を治療したとしてもきっと再発しますよね。それに対してはどう対処しました?」
→今、その問題を解決するだけではダメなんだ。今後、また起こる可能性があるなら、それについても説明や排便コントロールについて踏み込まないとダメなんだ。
私たちの仕事にも共通する部分だと感じました。
 
・軽度認知症症例で
南郷先生
「何をやって暮らしているのか、どういう生活をしているのかはとても大切。退院時に家族が不安がっているのが気になる。そこを汲み取らないとかえって大変ではないか」
→前例でもそうだが、入院して、治療して退院した後のこと、退院後の患者の環境まで考えて計画を立てることが大切。
 
・成人スティル病症例で
南郷先生
寛解した後のことが本当のアウトカムである」
 
★up to dateとdynamed
3人の研修医の先生が、それぞれ症例を提示して、診断から治療の中で生まれたCQを、up to date,dynamedを交互に見ながら、スピード感を持って検討を進めていくという教育回診でした。
教育回診の中で調べたこと。
診断をするときに必要な検査、症状に対しての感度、特異度
敗血症の治療について、補液量について、尿量について
小児の肺炎で、マイコプラズマ肺炎はどのくらいの割合を占めるか
小児に対するNQは推奨されるのか
小児の肺炎で、プレドニゾロン投与は推奨されるのか
 
up to date→大枠を知りたいときに
dynamic→どれくらいの効果か知りたいときに
 
知りたいことがほぼ全て書いてあることにオロドキでした。使ってみたいツールでした。
 
 
以上!とっても楽しい勉強会でした!
最後までお読みいただきありがとうございました
 
 

VTE予防のためにDOACを服用するがん患者の効果と害を考える

個人的背景:

VTE予防のためにDOACを服用するがん患者の効果と害を考える。

お題論文:

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1814468

Apixaban to Prevent Venous Thromboembolism in Patients with Cancer

チェックシートはthe spellのサイトのRCTのものを参考にいたしました。

1.論文のPECOはなにか

P:次の組み入れ基準、除外基準を満たすがん患者

組み入れ基準:

18才以上

Khorana score≧2

新しくがんと診断された

完全にまたは、部分的に寛解されたあとの増悪

最低3か月、新しく化学療法をはじめた

 

除外基準

臨床的に出血のリスクが高い患者

凝固生涯に関連する肝疾患

基底細胞がん、扁平上皮細胞皮膚がん

急性白血病

計画された幹細胞移植

6か月未満の余命

eGFR<30mL/min/1.73㎡

PLT<50000/㎣

アピキサバン禁忌

妊娠

授乳(母乳)

継続的な抗凝固薬の服用

40kg未満の体重

 

E:アピキサバン 2.5mg(1日2回)を服用するのと

C:プラセボを服用するのとでは

O:

Primary efficacy outcome

180日以内の静脈血栓症の初発のエピソード(深部静脈血栓肺塞栓症

main safety outcome(セカンダリ

大出血、ヘモグロビン2g/dL以上の減少、2単位以上の赤血球の輸血か死亡

 

2.ランダム割り付けか→〇

P2より WEBベースによるランダム割り付け→中央割り付け→concealment保たれている

年齢、性別、参加したセンターで層別化されている。

 

3.ベースラインは同等か→〇

P5 table1より

年齢の平均61才、41%が男性、平均体重80kg!BMI≧35 が両群約24%を占める

クレアチニンリアランス>50ml/min 94%

リンパ腫、婦人科がん 25%、すい臓がん12~14%

 

Khorana score:2が64~67%で一番多い

PS:0 or 1 約85%を占める。

Khorana scoreとは 

がん患者の臨床および検査所見からVTE発症のリスクを層別化しようとするスコアのこと。(サプリメンタルに記載あり)

 

4.ITT解析か→mITT

P4 fig1

それぞれの群で、それを受けなかった患者を抜きにして解析

チェックシートより、FASまでを広義のITTとするとのことと、うけなかった患者は総数の2%なので問題ないと判断して読み進める。

 

・脱落は?

Lost to followup 24人なので脱落率4.3%

問題ないと判断。

 

5.マスキングされているか

Quadruple (Participant, Care Provider, Investigator, Outcomes Assessor)

キャスを聞いてくださった同志に教えてもらいました。

 

6.サンプルサイズ→計算されている。

P3 574人と計算。

 

7.結果

p6のtable2より

Efficacy outcome

EER= 0.042,CER=0.102

NNT=17

 

Safety outcome

NNH=59

アピキサバンの胃腸管出血、血尿、婦人科出血

→定義されていた重度の出血であるカテゴリー3,4は両群とも約20%

重症エピソードは両群同じ。

 

私の疑問

  1. アピキサバンの用量が日本より少ないのはなぜか?
  2. VS プラセボにした意味はなにか?

★ここでガイダンスをよんでみよう! 

Guidance for the prevention and treatment of cancer-associated venous thromboembolism | SpringerLink

①VTE1次予防はリスクが高い患者を対象とする必要がある。

 ASCO,ESMO,NCCNのガイドラインでは1次予防の患者選択は明確に定められていない。

 

②VTE治療の最適期間はまだわかっていない。

LMWH後の再VTEの治療もまた効果のほどは疑問である。

 

③外来の血栓塞栓症患者を選択するために、リスクを層別化してリスクが高い患者に適用するほうがリスクーベネフィットの益のほうが高くなる。

 

★コクランレビューでは

LMWHが症候性VTEを有意に減少する RR=0.62[0.41-0.93] NNT=60

しかし、出血のリスクはあるようである  RR=1.57[0.69-3.60]

ふたつのRCTのサブグループ解析からVTEのリスクが高い患者に適用したほうがより大きな恩恵を受けるかもしれないと。

 

→一般のがん患者や、出血リスクが高い患者、リスクが層別化されていない患者では、一次予防は推奨されていない。

 

考察:

固形腫瘍患者で、かつKhorana score≧2ならば、症候性血栓症は化学療法の最初の6か月間に約9.6%。(お題論文のintroductionより)

この論文からの結果では、アピキサバンはプラセボにくらべて絶対差で6%VTEのリスクを下げる。

上記の「化学療法の最初の6か月間に約9.6%」におこるかもしれない患者のリスクを絶対差で6%さげるということか?

安全性に関してはこの論文の背景の患者では両群で同等。

ここまで調べてきて、一般のがん患者の一次予防のために適用するのではなく、がん腫などが含まれるスコアでリスクを層別化して、より血栓症のリスクの高い患者に適用することが大切なことだと読み取りました。

 

キャスにつきあっていただいた先生方、ありがとうございました!

私ばかり勉強させていただいてすみません・・

ここまで読んでいただきありがとうございます。

間違いあればご指摘くだされば幸いです。

コホートスタディを読んでみよう〜Angiotensin converting enzyme inhibitors and risk of lung cancer

Angiotensin converting enzyme inhibitors and risk of lung cancer: population based cohort study
 
一人勉強といいながらキャスで一緒に勉強してくださった方、後で私の質問に答えてくださった方にお礼を申し上げます。
南郷先生のチェックシートを使って吟味してみました。
 
 
チェックリストを埋めよう!
 
0.コホートのチェックシートを用いるのは適切か。
→適切。
アブストより
 Population based cohort study.
 
★バイアスについて
1)選択バイアス→コホート研究は制御できる。
2)情報バイアス→危険因子やアウトカムの測定をマスキングすることで制御できる。
3)交絡因子→未知の交絡因子は制御できない。
 
1.論文のPICOは何か
P:at least 18 years of age, who were newly treated with an antihypertensive drug(including β adrenoceptor blockers, α adrenoceptor blockers, ACEIs, angiotensin receptor blockers, calcium channel blockers, vasodilators, centrally acting antihypertensives, diuretics, ganglion blockers, and renin inhibitors)
 
・組み入れ基準
降圧薬で新たに治療された患者、および以前の治療歴に使用されていない降圧薬クラスに追加または切り替えられた患者。
 
・除外基準
がん(非メラノーマ皮膚癌以外)の診断を受けた患者、およびがん(化学療法または放射線療法)の治療を受けていた患者。
 
E:ACEiを服用するのと
  ラミプリル(26%)リシノプリル(12%)ペリンドプリル7%
 
C:ARBを服用するのとでは
 
 
O:肺がんの発生率に違いがあるか。
 
2.予後、病因、危険因子、害、予測ルールのいずれを見るか
→害(ハザード比を見ている)
 
3.追跡期間はどれくらいか
→平均6.4年
→肺がんの発症からすれば、短い気がするが、実際は有意差のある結果が得られているところを見れば、短いことはないのか?
 
4.脱落は?
We followed up all patients who met the study inclusion criteria
脱落なし
 
5.アウトカムの評価者が危険因子についてmaskingされているか?
記載なし
 
 
6.交絡因子の調整
Cox proportional hazards models were used to estimate adjusted hazard ratios with 95% con dence intervals of incident lung cancer associated with the time varying use of ACEIs, compared with use of angiotensin receptor blockers, overall, by cumulative duration of use, and by time since initiation.
Adjusted for age, sex, year of cohort entry, body mass index, smoking, alcohol related disorders, 
history of lung diseases before cohort entry (including pneumonia, tuberculosis, and chronic obstructive pulmonary disease), duration of treated hypertension, use of statins, and total number of unique drug classes in year before cohort entry.
●背景
コホートにエントリーされたのは992061人 そのうち
ACEi 208353人(21%)ARB 16027人(1.6%)
両群の背景に大きな違いは見られない。
調整されたのは年齢、性別、アルコール関連障害、喫煙、BMI、高血圧治療の平均の期間、肺炎、結核COPD、スタチンの服用、unique drug classesの数
私の疑問
疑問1:ACEi群とARB群で13倍程度例数が違うのは問題ないのだろうか。
疑問2:なぜスタチンで調整されているのか。
疑問3:unique drug classesの数とは何か。
これらの私の疑問を冒頭の皆さんに教えていただきました。
ここでは割愛いたします。
 
7.結果の評価
 
outcome発生
outcome発生せず
 
危険因子あり
3186
1973953
1977139
危険因子なし
266
213291
213557
 
3452
2187244
2190696
RR=0.16%/0.12%=1.33 
寄与リスク=0.16-0.12=0.04%
ACEIs were associated with an overall 14% greater risk of lung cancer (1.6 v 1.2 per 1000 person years; hazard ratio 1.14, 95% con dence interval 1.01 to 1.29)
 
調整されたRRが有意に大きいので、その因子はアウトカムに対する危険因子だったと言える。
 
★高血圧患者がACEiを服用するのはARBを服用するのと比べると、肺がんを発症するリスクがあるかもしれないが、その影響は小さいものだと言える。
このスタディの平均観察期間である6.4年は、高血圧患者は降圧剤を服用していく期間に比べると短いものではないかと思われるが、ACEiは様々な疾患でコアとなる薬でもあるので個々の背景によって決定されるものかもしれない。
 
抄読会をリアルでなかなか開けないのでたまに、このようにキャスで読んで見たいと思います。
一人で読むより、視野が広がるので楽しいです。付き合ってくださる方には申し訳ないけれど。
 
それでは良い週末を。
読んでいただきありがとうございます。
 
 

本の装丁について

父は、亡くなる前に生涯でただ一つの詩集を編んだ。

細部に父の指示があったので備忘のために記録。

 

・表紙と口絵

キリスト教徒でもあった父が、とある方に依頼。

表紙は、薔薇窓。

f:id:ruruuun:20181118112203j:image

・カバーをめくる

シンプルだが質感にこだわり。そして題名のくすんだ青の文字。

f:id:ruruuun:20181118112236j:image

 

・表紙を開ける

やさしい緑。頁を閉じる濃い緑。

f:id:ruruuun:20181118112312j:image

 

・フォント

字体と大きさ

f:id:ruruuun:20181118112246j:image

f:id:ruruuun:20181118112340j:image

 

 

家族用のには、難解な詩に、直筆で注釈付き。

手にした時の質感、目に入ってくる時の色、字体の安らぎ。

日々の生活でもそのような五感に語りかけるものを大切にしていきたい。

そう願っています。

 

ある晩秋の日に。

f:id:ruruuun:20181118112413j:image

 

 

 

薬剤性肝障害と他の肝障害との鑑別

薬剤性肝障害と他の肝障害との鑑別
 
●個人的背景
これまで、肝機能に異常があるととにもかくにもDILIを想起してばかりだが、そのようになってはいけない。
どんなことを想起しなければならないのかを次の雑誌から勉強したことをまとめる。
 
レジデントノート10月号より
f:id:ruruuun:20181113233150j:image
 
過去に勉強したDILI
 
 
 
薬剤性肝障害(DILI)の診断にはポイントは二つ!!
 
ポイント!
1.まず肝障害を起こした症例に遭遇した時、ウイルス性肝炎、自己免疫性肝疾患、脂肪性肝疾患など肝障害をきたしうる他の原因を丁寧に除外する。
 
2.他の原因が除外され、DILIの可能性が考えられる時、原因となりうる薬物(処方薬、OTC,漢方、サプリなど)とその服用時期とを詳細に聴取し、肝障害発症と時間的関係を確認する。
 
2004年にDILI診断のためのスコアリングシステムが提唱されて広く用いられているが、DILIの診断に置いては確実な診断基準や基準は存在しない。
 
【鑑別疾患】
DILIの鑑別疾患として実臨床上最も問題になるのは、自己免疫性肝炎と急性胆管炎である。
 
★自己免疫性肝炎
緩徐に経過し、慢性肝炎として診断されるが、ときに急性肝炎様に発症することがある。この場合特徴的なマーカーを欠くことが多く、DILIとの鑑別が困難な場合がある。
→この場合は速やかに肝生検を行うことが大切。
→安易にDILIと考え、被疑薬の中止だけをして、漫然と経過を見ているうちにどんどん肝障害が悪化し、肝不全へ陥ってしまうケースがある。
 
★急性胆管炎
典型例では発熱、黄疸、腹痛が見られるが高齢者ではこれらの症状を欠き、ほとんど無症状のまま肝障害だけが前面に出てDILIと誤診されることがある。
→腹部エコー検査や腹部CTなど画像検査を行う。
 
【DILIの治療方針】
1)被疑薬の中止と経過観察
・大原則:被疑薬の中止
多くは中止だけで経過する。
中止のみで経過したという経過によって被疑薬と肝障害の因果関係が確定する場合がある。
★複数の薬物が投与されていて、かつ肝障害が比較的軽症の場合には、原因薬物を確定するため」、過去の副作用報告などを参考に可能性の高い順に中止していく。
★肝障害が中等症から重症の場合には中止可能な薬物は全て同時に中止する必要があります。
 
2)患者への説明
・被疑薬を再度服用すると重篤な肝障害が生ずるおそれがあるため服用は避けること。
医療機関受診の際にも必ず、被疑薬の名称を伝えること。
OTCを購入の際も被疑薬の成分が入ったものを購入しないこと。