ruruuunのブログ

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アパルタミド(強力なCYP3A4インデューサー)とアピキサバンの併用は?

アパルタミドとアピキサバンの併用について考える。

[1]日本の添付文書では 

アピキサバンの日本の添付文書では静脈血栓塞栓症患者 に対して併用した場 合、本剤の効果が減弱するおそれがあるため、併用を避けることが望ましい。とされる。

 

[2]海外の添付文書では

アメリカの添付文書ではアピキサバンは次の記載になっている。

7.2 P-gpと強力なCYP3A4インデューサーの組み合わせ

P-gpと強力なCYP3A4インデューサー(リファンピン、カルバマゼピン、フェニトイン、セントジョーンズワートなど)を併用したELIQUISの併用は避けてください。このような薬物は、アピキサバンへの曝露を減少させるためです臨床薬理(12.3)を参照]
 
図2:アピキサバンの薬物動態に対する共投与薬物の影響

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[3]uptodateでは

While several strong CYP3A4 inducers have also been identified as inducers of P-gp, several others have not been studied or have an unknown impact on the disposition of P-gp substrates in humans. Unless data clearly indicate a lack of P-gp induction effect by a strong CYP3A4 inducer, use with apixaban should be avoided whenever possible.
強いCYP3A4誘導によるP-gp誘導の欠如を示すデータが明確でない限り、併用を避けるべきとされている。
また、uptodateに引用されている次の論文では
[目的]
NOACsの使用と併用薬の併用と非弁膜症性心房細動患者の大出血のリスクとの関連を評価する。
[デザイン ]
2012年1月1日から2016年12月31日までにダビガトラン、リバロキサバン、またはアピキサバンのNOAC処方を1回以上受けた非弁膜症性心房細動患者91330人を含む、台湾国民健康保険データベースのデータを使用した後向きコホート研究
[主要評価項目]
頭蓋内出血または胃腸、泌尿生殖器、またはその他の出血の一次診断を伴う入院または救急受診として定義される大出血
非弁膜症性心房細動の91 330人の患者(平均年齢、74.7歳[SD、10.8]、男性、55.8%
NOAC曝露:ダビガトラン:45,347人、リバロキサバン:54,006人、アピキサバン:12,886人
上記の文献によると、出血リスクの増加はDOACの薬物動態にかかわらない結果になっている。
しかし、@nekonekoz先生から、3A4誘導剤であるRFPとの併用では、母集団の結核に伴う出血リスクを考慮すべきと教えていただいた。
たしかに、RFPを服用している患者は、併存疾患としては結核が考えられる。ベースラインリスクがどの程度なのかさらに調べる必要がある。

[4]他論文情報と書籍の情報

この研究の目標は、心房細動患者の虚血性脳卒中/全身性塞栓症および大出血の頻度に対するダビガトラン血漿濃度、患者人口統計、およびアスピリン使用の影響を分析すること。
虚血性脳卒中および出血の結果は、ダビガトランの血漿濃度と相関していた。年齢が最も重要な共変量だった。
67歳女性の病歴は、冠動脈バイパス移植と心房細動で構成されていた。2ヶ月前に、彼女は外傷性大腿骨骨折後に人工股関節を受けた。黄色ブドウ球菌の創傷感染により回復が困難になり、合計3ヶ月間経口シプロフロキサシンとリファンピシンで治療された。
薬物はシプロフロキサシン750mgを1日2回、リファンピシン150mgを1日2回、リバロキサバン20mgを1日2回投与しました。転機は、肺塞栓症で死亡。
リファンピシンとリバロキサバンの相互作用により、致命的な肺塞栓症のこの症例が治療レベル以下のリバロキサバンに関連している可能性があると結論している。
上記二つの論文は、ダビガトランとリバーロキサバンだが、アピキサバンも効果、副作用は血中濃度に相関すると考えてリスクを避ける選択を考えた方がいいだろう。
医療現場のための薬物相互作用リテラシーの書籍より
第2章 2 CYP3A4誘導のDDIにおけるCR-IR法とPISCS
誘導の相互作用は一般にクリアランスが増大する方向なので、効果不十分に陥りやすいが危険な副作用が急に生じるリスクは小さいと考えられる。
との記載あり。

[5]まとめ

DOACは目安がないだけに、注意して服用するとしても梗塞がおこってしまっては元も子もないので、提案できる代替がないか調べてみた。エドキサバンはどうだろう。
リファンピシン(600mg/日)とエドキサバン60mgを併用し たとき、エドキサバンのAUCは約34%低下したが、PT及び APTTには影響が認められなかった。(エドキサバンの添付文書より)
ちなみにlexicompでは、RFPエドキサバンは避けること(❌)となっているが、アパルタミドでは(C)である。
エドキサバンは臨床用量で想定される血漿中濃度で主要なヒト CYP分子種を阻害あるいは誘導しなかった。エドキサバンは P糖蛋白の基質であることが示唆された。
このことから、アパルタミドと併用で、自分的に推奨できるのは、エドキサバンかもしれない。
@nekonekoz先生の知恵も拝借した。考えていただいてありがとうございました。
目次を始めて作ったのですがうまくいかなかった( ;  ; )
 
 
 

小旅行記 角館編

その人は、改札口で待っていた。
私を見つけると「やあ!」というように右手を上げた。
改札には誰もいず、新幹線のチケットを手持ち無沙汰に切符入れの箱に入れようか迷ったが、そのまま改札をくぐり抜けた。
 
その日はとても暑かったんだ。
私が、建物のディテールが好きだというと、武家屋敷の中でも欄間の細工が凝っているところを案内してくれた。
 
お昼ご飯の間や、スイーツの時間に、彼女の大切にしている執筆の仕事について話をした。
そう、彼女の右手からは、私からすると、まるで、津軽のこぎん刺しのように、こんまいところに手がとどくような素敵な文章が紡ぎ出されるのだ。
 
「この仕事だけは、大切にしていきたいと思っている」
 
私は心底、羨ましいと思った。でも彼女のそれを、私も大切にしていきたいと思った。
そして、私もそのようなものを見つけたいと願っている。
 
角館は、新幹線を降り立つと、そこだけ空気が澄んでいるようだ。
昆虫たちも、優雅に息づいていたが、街並みに合わせたように、静かに佇んでいた。
 
おにやんま、烏揚羽、蜉蝣
 
今でも目を瞑ると武家屋敷の黒板塀と、立派な木立の緑、川べりの赤い欄干が鮮やかに思い出される。
 
帰り際、私は彼女と握手を交わした。
彼女の手のぬくみ
 
いつだって応援しているよ。
これからもよろしく。
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CQ.CKDの患者の骨粗鬆症の治療は?

●CKD患者の骨折リスク
CKD患者では、循環血漿中のリン(P)蓄積に起因する続発性副甲状腺機能亢進症に関連してCKD-ミネラル骨障害(MBD)が発症し、心血管疾患および骨折のリスクが高まる。
 
CKD患者は股関節骨折のリスクが著しく増加し、報告発生率は最大5.2%であった。
CKDの存在(OR 2.32、95%CI 1.13〜4.74)
 
G5 CKD患者は一般集団に比べて骨折のリスクが4.4倍高いことが報告されている。
 
股関節または椎体骨折を伴う65歳以上の女性を対象とした症例コホート研究から、eGFRが≥60mL /分/ 1.73m2の女性と比較してeGFRが45〜49mL /分/ 1.73m2患者で転子部骨折のリスクが5〜3.5倍増加したことが報告されている。
 
 
●CKD患者の骨粗鬆症の治療 uptodateよりまとめ
ビスフォスフォネートは、一般的にeGFRが30mL/min以下(アレンドロネート、リセドロネート)、35 mL /min以下(ゾレドロン酸)では推奨されない。それらはeGFR <30 mL /minの患者に日常的に使用されるべきではない。
 
1.脆弱性骨折のない低BMDを有するeGFR:30mL /min未満の患者
  →薬物療法を勧めない
2.脆弱性骨折を有するeGFR:30mL /min未満の患者
薬物療法の候補となり得る。そのような患者は、薬物療法を考慮する前に、骨折の原因として他の形態のCKD-MBDの除外を必要とする。 
 
薬物療法の候補となるeGFR:15〜30 mL /minのeGFR患者には、経口ビスフォスフォネートが推奨される.デノスマブは、代替となりうる。 
 
薬物療法の候補であるeGFR:15 mL /min未満の患者には、経口ビスフォスフォネートが推奨される。典型的には隔週(すなわち、通常の投与量の半分)で3年以下の間、リセドロネート35mgを処方。血液透析患者におけるデノスマブ投与は臨床的に有意な低カルシウム血症と関連しているが、デノスマブは代替法である。
 
【まとめ】
eGFR:30mL /min未満の患者で、脆弱性骨折のない患者であれば、腎機能からビスホスを中止せざるをえなくなってもデノスマブなど考慮しなくても良いかもしれない。
脆弱性骨折を有するeGFR:30mL /min未満の患者では、ビスホスを投与することもあることを学んだ。
デノスマブは代替となるが低カルシウム血症に注意である。
 
✳︎CKD患者においてデノスマブによって誘発された低カルシウム血症は重大な問題となる可能性があり、デノスマブを開始する前に適切な予防策を実行し、有効なビタミンDを適格なCKD患者に予防的に投与することによって避けるべきである。血清Ca濃度は通常投与後約7日でその最低値に達する。
 
 
一緒に考えてくださった、はぎ先生、ありがとうございます。
 
 

CQ:レゴラフェニブにクラリスロマイシンの併用を見たら?

★目標
→インタビューフォームからCYP3A4阻害薬併用時の薬物動態を見て、定常状態を予測する。
→レゴラフェニブとCYP3A4阻害薬との併用を見たらどうアクションするか整備する。
 
✅日本の添付文書では
相互作用の項に、
CYP3A4阻害作用のない又は弱い薬剤への代 替を考慮すること.併 用が避けられない場合 には,患者の状態を慎重に観察すること.
とある
 
✅lexicomp®では
次のCYP3A4強力阻害薬とは併用を避けることとの記載。
Patient Management Avoid concomitant use of regorafenib with any strong CYP3A4 inhibitors.
CYP3A4 Inhibitors (Strong) Interacting Members Atazanavir, Clarithromycin, Cobicistat, Darunavir, Idelalisib, Indinavir, Itraconazole, Ketoconazole (Systemic), Lopinavir, MiFEPRIStone, Nefazodone, Nelfinavir, Ombitasvir, Paritaprevir, and Ritonavir, Ombitasvir, Paritaprevir, Ritonavir, and Dasabuvir, Posaconazole, Ritonavir, Saquinavir, Telithromycin, Voriconazole
 
レゴラフェニブのインタビューフォームから
代謝と、薬物動態のデータからレゴラフェニブとCYP3A4の併用によって定常状態でどのくらいレゴラフェニブの薬物動態に影響があるのか予測してみる。
[evernote:80d5be05667bfbcbf72595ffd2ff73c3 アップロード中]
インタビューフォームより
主に肝臓で代謝
未変化体から、未変化体と同様の薬理活性を有するM-2及びM-5の生成にCYP3A4が関与している。
代謝物プロファイルでは未変化体が総放射能の57.4%,M-2 28.7%、M-5 6.3%
進行性固形がん患者にレゴラフェニブ160mgを反復経口投与した試験では、代謝物のM-2,M-5は定常状態において未変化体と同程度の曝露量に達した。
 
●ケトコナゾールと併用したら
外国において,本剤とケトコナゾールを併用投与した際の薬物動態が検討された .本試験は,健康成人男性を対象に本剤 160 mg を単回投与し,14 日間休薬後,ケトコナゾール 400 mg 1 1 18 日間反復投与中の投与 5 日目に本 剤 160 mg を単回併用投与した.
その結果,ケトコナゾールとの併用により, 本剤の AUC 及び Cmax はそれぞれ 33%及び 40%増加し,代謝M-2 及び M-5 AUC はそれぞれ 94%及び 93%減少し,Cmax はそれぞれ 97%及び 94%減少した.
 
→これをどう予測するか
ケトコナゾールと併用すると、未変化体のAUCは約1.3倍、Cmaxは1.4倍に増加する。しかし、未変化体は代謝物にほとんど代謝されない。代謝物による活性はほとんどなくなる。
これは単回投与の結果なので定常状態ではどのくらい増加するのか。
 
→蓄積率を計算してみる。
 
 
蓄積率
ケトコナゾール併用時の定常状態のCmaxの変化率
レゴラフェニブ
0.79
2.4
3.3倍
M-2
0.86
2.3
0.07倍
M-5
0.39
3.4
0.22倍
 
おそらく問題になるのは未変化体の増加だと考える。
ケトコナゾール併用時の定常状態のCmaxの変化率は、3.3倍と推測できるので、AUCもそれに伴って増加すると思われる。
クラリスロマイシンはpiscs理論から、ケトコナゾールがIR=1とするとクラリスロマイシンは0.88なので
Maxの変化率は3.3倍x0.88=2.9倍
と推測される。
ただ、ここで疑問だが、同じように活性を示すM-2に代謝されなくなるのは、未変化体はCYP3A4強力阻害薬との併用で増加するが、M-2など代謝物への代謝がほとんどなくなることで結局は、さほど影響ないのではないかということだ。
 
これについては、文献検索を行ったが、併用した時の体への影響など探すことができなかったのでわからない。
それでもリスクを回避するために、併用が必要であるのかを精査して併用を避けるように疑義照会するべきと考える。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

NSAIDsによる急性腎障害

副作用マニュアルより抜粋、復習
急性腎障害は。
「血清クレアチニン値が前値の 150%以上に上昇する」を基本と考える
 
(1)早期に認められる症状 
腎臓の障害部位および発症機序等により症状は異なるが、乏尿・無尿、浮腫、倦怠感等および血液検査においてクレアチニン尿素窒素(BUN)の 上昇で示される高窒素血症が共通して見られる症状である。
 
(2)副作用の好発時期 
原因医薬品により異なるが、原因と考えられる医薬品を服用して数時間以内に発症することもあるし、数年経ってから発症することもある。 NSAIDs、高血圧治療薬、造影剤、シスプラチン、アミノグリコシドなどに よる急性腎不全は使用開始後数日以内に起こりうる。
 
(3)患者側のリスク因子
 高齢、基礎疾患に慢性腎不全がある、発熱、脱水、食事摂取量の減少、複数の医薬品の服用、肝不全などがあげられる。
 
(4)推定原因医薬品
NSAIDs、高血圧治療薬(ACEI、ARB 等)、抗生物質(アミノグリコシド等)、抗菌薬、造影剤、抗がん剤(シスプラチン等)など広範囲にわたる。
 
虚血性機序
NSAIDs はアラキドン酸代謝経路において、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することによりプロスタグランジン (PG)産生を抑制する。PGE2 や PGI2 などによる腎血管拡張系が低下 し、アンジオテンシンIIやノルエピネフリンなどの腎血管収縮系 が優位になることにより腎動脈が収縮し腎血流を減少させると 考えられている(腎前性急性腎不全)。重症例においては腎組織に 虚血性の変化を引き起こす。
 
NSAIDs、ACEI 等による急性腎不全の概要
臨床症状: 
(1)自覚症状
初期には症状が少ないが、進行すると食欲不振、嘔吐、下痢、体重減少、 倦怠感、発熱、全身の紅潮、乏尿、浮腫、手足のむくみ、目が腫れぼったい などの症状が出現する。
(2)他覚症状
進行すると、乏尿(1 日尿量 400 mL 以下)あるいは無尿(1 日尿量 100 mL以下)、高K血症、代謝性アシドーシス、体液過剰(肺うっ血、胸水、腹水、 浮腫)、循環器症状(不整脈、うっ血性心不全、高血圧)、消化器症状(悪心、 嘔吐、食欲不振、消化管出血)、神経症状(意識障害や痙攣)など。
(3)臨床検査値 
血清クレアチニン値の上昇により急性腎不全の存在が確認できる。急性腎不全に遭遇した場合、尿電解質と尿一般検査を行うことが重要である。
1. 尿検査
Na 排泄分画 fractional excretion of sodium(FENa)および renal failureindex(RFI)は、腎前性腎不全と腎性腎不全(急性尿細管壊死)の鑑別に有用である
[FENa=(尿中 Na(mEq/L)×血清クレアチニン(mg/dL) / 血清 Na(mEq/L)× 尿中クレアチニン(mg/dL))×100, 
RFI=尿中 Na(mEq/L)×尿中クレアチニン (mg/dL) / 血清クレアチニン(mg/dL)]。
解説のサイト
腎性腎不全では尿細管障害により Na の再吸収能が低下するため、尿中の Na 濃度が上昇し FENa や RFI が腎前性に 比べ高値となる。
尿中のK濃度は、腎前性では高度の腎血流量の低下に伴うレニン・アルドステロン系の亢進のため上昇する。
尿一般検査での血尿、蛋白尿、円柱尿は糸球体性の急性腎不全を疑わせる 所見であり、赤血球変形率の高い血尿は糸球体由来の可能性が高い。尿中の 白血球数の増加や白血球円柱、尿中好酸球の存在は、尿細管・間質性腎炎(主 として薬剤性)の存在を疑わせる。尿中のα1-・β2 ミクログロブリンや N- アセチル-β-D-グルコサミニダーゼ(NAG)は、尿細管・間質障害の程度を評価するのに有用である。
2. 血液検査
乏尿期の特徴的所見は、1高窒素血症、2低Na血症、3高K血症、4代謝性アシドーシス、5高尿酸血症である。 腎前性の場合、尿細管での尿素窒素の再吸収が増加するため血清UN(SUN)/Cr 比は 20 以上となる。
3.判定基準
医薬品服用後 1~4 週の間に血清クレアチニン値が 1 日 0.5 mg/dL、血清尿素窒素が 1日 10 mg/dL 以上上昇するか、血清クレアチニン値が前値の 150%以上 に上昇する場合。
確定診断:腎生検
被疑薬確定法:有り リンパ球刺激試験(DLST)(アレルギー性の場合)
4.判別が必要な疾患と判別方法
1.体液の減少:下痢、嘔吐、出血、火傷、利尿薬の過剰投与 
2.有効循環血漿量の減少:肝硬変、ネフローゼ症候群、膵炎 
3.心拍出量の減少:心筋梗塞、心筋症、心タンポナーデ不整脈 
4.末梢血管拡張:敗血症、アナフィラキシー 
5.腎血管収縮:肝腎症候群
上記を血液検査、画像診断(X 線・超音波検査など)を用いて除外する。 また上記疾患は NSAIDs、ACE 阻害薬による急性腎不全の危険因子でもあり、上 記疾患を有する患者には NSAIDs、ACE 阻害薬の使用を避けるか慎重に使用する。
予防法: 
高齢、循環血漿量低下などのリスク因子のある症例に対しては、慎重に投与する。投与せざるを得ない時は、脱水状態を作らないようにする。 NSAIDs はクレアチニンリアランス(Ccr) 60 mL/分以上では常用量投与可能であるが、副作用出現時は直ちに投与中止する。Ccr 60 mL/分未満に対しては投与量を減らすか、投与間隔を延ばすなど慎重に投与する。
ACE 阻害薬はクレアチニンリアランス(Ccr)30 mL/分以下、または血清クレアチニンが 3 mg/dL 以上の場合には、投与量を減らすか、投与間隔を延ば すなど慎重に投与する。
2 週から 1 ヶ月に 1 回程度の血液検査と尿検査を行う。
 
●まとめ●
薬局には担がん患者で、高齢者ではないが、痛みの主訴を持っている患者が多く来局する。
薬剤性腎障害を防ぐために、私たちのインタビューがとても大切になる。
→今の腎機能を把握するために検査値を拝見する。
→がんの部位や、放射線照射の有無、照射の場所、食事の水分の摂取状況を確認する。
→食事などの摂取状況は他処方薬の剤形が散剤のみや、粉砕指示などからの推測されるところである。
→調剤後も、NSAIDsだと数日で発症する可能性があるので予め、初期症状を伝えておく。
 
丁寧な生活状況の聴取を心がけよう。
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腎機能の推測

前回に引き続き、標準化eGFRや体表面積未補正eGFRをしっかり把握することを目的に演習する。
 
例1)155cm 64.1kg  Cr値1.47  67歳 女性 BMI 26
 
→ロキソプロフェン処方に対して
 
腎機能別薬剤投与一覧より
eGFRまたはCCr<30mL/min では禁忌
 
薬物療法学会の計算サイトから腎機能を計算する。
標準化eGFR
28.14
mL/min/1.73m2
 
体表面積未補正eGFR
26.52
mL/min
 
標準化CCr
39.88
 
mL/min/1.73m2
 
37.58
mL/min
27.76mL/min
理想体重で再計算
 
肥満体型のためeGFRとCCrに乖離が見られる。CCrを理想体重を用いて再計算してみる。
 
理想体重:47.35kg
 
体表面積未補正eGFRとCCrが一致してきた。
体表面積未補正eGFR 26.52mL/minから禁忌例であると判断する。
 
例2)155cm 76kg  Cr値 0.55 55歳 女性 BMI 31.6
 
→S-1処方に対して
 
Cr値が0.6よりも小さい事から0.6を代入する。
標準化eGFR
87.76
mL/min/1.73m2
 
体表面積未補正eGFR
88.91
mL/min
 
標準化CCr
138.48
mL/min/1.73m2
 
140.29
mL/min
80.12mL/min
理想体重で再計算
 
理想体重:47.35kg
体表面積未補正eGFR 80mL/min以上はあると判断し体表面積に合わせて減量せずに投与で良いと判断する。
 
今回はいずれも肥満例で演習してみた。某先生に教えていただいたが、肥満例とは概ねBMI 25以上で良いらしい。
なお18.5未満で痩せと判断するとのこと。
 
これからも精進あるのみ。間違いあればご指摘ください。
 

メトホルミンの添付文書改訂をどうとらえるのか

メトホルミンの添付文書から
 

*用法及び用量に関連する使用上の注意

 中等度の腎機能障害のある患者(eGFR 30 mL/min/1.73 m2以上60 mL/min/1.73 m2未満)では、メトホルミンの血中濃度が上昇し、乳酸アシドーシスの発現リスクが高くなる可能性があるため、以下の点に注意すること。特に、eGFRが30 mL/min/1.73 m2以上45 mL/min/1.73 m2未満の患者には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔「重要な基本的注意」、「重大な副作用」、「薬物動態」の項参照〕

 ・投与は、少量より開始すること。
 ・投与中は、より頻回に腎機能(eGFR等)を確認するなど慎重に経過を観察し、投与の適否及び投与量の調節を検討すること。
 ・効果不十分な場合は、メトホルミン塩酸塩として1日最高投与量を下表の目安まで増量することができるが、効果を観察しながら徐々に増量すること。また、投与にあたっては、1日量を1日2〜3回分割投与すること。

中等度の腎機能障害のある患者における1日最高投与量の目安

 

 

        
 
1.標準化 eGFR(mL/min/1.73m2)は体格用量で示されたときに用いる腎機能である。
 
熊本大学薬学部臨床薬理学分野ホームページ: 腎機能評価の10の鉄則 第6版より アクセス日時 2019.6.29
 
上記のページには同じように標準化eGFRで投与量の記載となっているオルミエントの用量調整について例として述べられている。
今回、メトホルミンも同じように標準化eGFRでの記載となった。
 
2.もし標準化eGFR 40mL/min/1.73m2で体表面積が1.73m2の2/3である1.15m2だったら?
 
上記の添付文書の記載より1日最高投与量の目安は750mgとなるが、体表面積が2/3なので、1日最高投与量の目安は500mgとなるのだろうか。
 
上記鉄則にも
 
腎機能表記が標準化 eGFR(mL/min/1.73m2)であらわされる場合は、固定用量ではなく体格によって変動させる体格別用量に進化したと考えてよいと思われます。体格用量の時には腎機能として標準化 eGFR(mL/min/1.73m2)を用います。
 
とある。
 
3.アメリカの添付文書はどうなっているだろう。
 

Recommendations for Use in Renal Impairment

 

Assess renal function prior to initiation of metformin hydrochloride extended-release tablets and periodically thereafter. 
Metformin hydrochloride extended-release tablets are contraindicated in patients with an estimated glomerular filtration rate (eGFR) below 30 mL/minute/1.73 m2. 
Initiation of metformin hydrochloride extended-release tablets in patients with an eGFR between 30 to 45 mL/minute/1.73 m2 is not recommended. 
In patients taking metformin hydrochloride extended-release tablets whose eGFR later falls below 45 mL/min/1.73 m2, assess the benefit risk of continuing therapy. 
Discontinue metformin hydrochloride extended-release tablets if the patients eGFR later falls below 30 mL/minute/1.73 m2 (See  WARNINGS and PRECAUTIONS). 
 
同じように標準化eGFRでの腎機能の評価だが最高投与量の目安の記載はないようだ。メトホルミンは徐放錠のようだ。
 
●まとめ●
日米の添付文書にもあるように、45 mL/min/1.73 m2以下となったら、注意深く経過を見た方が良いだろう。
 
ご意見、ご教示ありましたらお願いいたします。