ruruuunのブログ

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ネットクリニカルベネフィットについて

 
ネットクリニカルベネフィット
上記の資料より、抜粋して自分用にまとめたもの。
 
●ベネフィット・リスクは評価するものである.何のために評価するかといえば,意思決定をサポートするためである.例えば,ある新治療を承認すべきか否か,というのは行政の立場における意思決定の問題である.もちろん,それに先立って,新治療を提供する申請者側では,それが研究に値するか,開発に値するか,申請に値するか,といったいくつもの意思決定がある.また,いったん新治療が世に出てからも,はたしてそれを用いるべきか,という医療従事者による意思決定があり,さらに,こうした医療従事者の指示に従うべきか,という患者による意思決定が続く.
我々は,常に意思決定を強いられるわけだが,何も考えず運と天にまかせよう,ということなら評価は不要である.よりよい,妥当な意思決定のために,我々は評価するのである.
 
●ベネフィットやリスクの項目として選ぶのは,試験のエンドポイントや臨床アウトカム,特定されたリスクや潜在的リスクとなるような項目である
 
フレームワークの一つBRATについて
BRAT フレームワークはデータに基づいて判断することを明記している一方,特定の定量的方法は薦めておらず,視覚化ツールを利用してデータを分かりやすく表示するためにごく簡単な定量的指標のみを用いることから半定量的方法と呼ばれている.他のフレームワークと比べ,米国企業の実務担当者が作成したこともあり,具体的で理解しやすく,フレームワークの入門として最初に検討するに値するものと考える.
次に流れを示す。

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 資料より
Incremental Net Health Benefit(INHB)および Net Clinical Benefit(NCB)は,経済学における費用便益分析の応用である.ベネフィットからコストを差し引くことで算出される NetBenefi(t 純便益)や,2 つの選択肢を比較した際の純便益の増分である Incremental Net Benefit(INB)の概念における「コスト」を「リスク」に置き換えた手法である.「Net」の一語を付加することで,ベネフィットのみではなく,リスクを差し引いた上でのベネフィット(リスクで調整したベネフィット)というニュアンスの用語になっている.ベネフィットに関する量とリスクに関する量の差を求める手法のうち,被験者レベルのデータが必要ない,つまりサマリデータで算出できる手法である.
 →ベネフィットとリスクの項目を列挙するあたり、コクランレビューのSofに記載のあるアウトカムと似ている。リスク差で効果推定値を表すのは、分かりやすいのではないかと思った。
 
●ベネフィットとリスク
鍵となるアイディアは単純である.ある選択肢の好ましさを,ある1 つの属性によって判断し,その好ましさを点数で表したとしよう.このとき,あなたは,その属性に関する点数を,他の属性に関する点数を知らなくても決めることができるだろうか.もし,その答えがイエスなら,その属性は他の属性と選好の上で独立である.同じ問いを他の属性についても繰り返し,常に答えが Yes なら,いま考えている複数の属性は選好の上で互いに独立である.
 
 
属性 X ,Y , Z ,...が,選好の上で互いに独立な場合,またその場合に限り,価値関数は和の形に表される.
 
→ベネフィットとリスクのそれぞれの項目は、独立したものでなければならない。 
 
一方 NCB は,ベネフィットとリスクそれぞれに関連する(2 値の)アウトカムを X ,Y とすると,薬剤 b に代えて薬剤 a を用いることで得られるベネフィットとリスクの増分はそれぞれXa XbおよびYa Ybとなる.NCBは以下のようにベネフィット(またはリスク)に項目毎の重要性の違いによる重みを付けた形になる.
NCB(Xa Xb)(Ya Yb)
ベネフィットの部分が μ 倍されているだけの違いだが,このようにすることで,ベネフィットとリスクが等価でない場合,つまり一方が他方と比較してより重要であると考えられる場合に,相対的な「重み」の違いを調整することができる.多くの場合,NCB はベネフィットとリスクにそれぞれ1つのアウトカムを割り当てるが,理論的には複数のアウトカムを検討することも可能であり,実際に報告もされている.
 
事例
ここで,NCB を用いてベネフィット・リスクを検討した事例を紹介する.本研究は,血栓塞栓症(脳梗塞,全身塞栓症)の予防目的で使用されるワルファリンの治療根拠を明確にするため,米国のコホート研究(ATRIA Study )の患者データを用いて実施されたものである.血液の凝固を防ぐという薬効は,脳梗塞・全身性塞栓症の予防というベネフィットをもたらす一方,そのメカニズムから容易に予想される通り,血液が固まりにくくなるために起こるリスク(例えば頭蓋内出血)を伴う.表 3-7 ATRIA study の結果を示す.

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 ベネフィットのアウトカム(脳梗塞,全身性塞栓症)の年間発症率を X (人/100 人年),リスクのアウトカム(頭蓋内出血)の年間発症率をY (人/100 人年)とすると,ベネフィットはワルファリン使用( b )によってワルファリン非使用時( a )と比べて減少する(予防できる)アウトカムの年間発症率と考えられるので,ベネフィットの増分は(Xa Xb) となる.一方,リスクはワルファリン使用( b )によるワルファリン非使用時( a )と比較した頭蓋内出血の年間発症率となるので,リスクの増分は(Yb Ya)となる.ここで,頭蓋内出血の多くは硬膜下出血であり,致死率としては脳梗塞と同様であったが,著者らの主観的判断によりリスクを 1.5 倍に重みづけし,
NCB=(Xa Xb)1.5×(Yb Ya)と定義した.表 3-7 のデータをこの式に代入した結果を3-8 に示す.
 
本研究ではリスクの重み付けなしの場合,逆に重み付けを 2 倍にした場合の感度分析も実施しているが,NCB はいずれも 0 を上回っており,ベネフィットがリスクを上回る結果となっている.

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3-8 Net Clinical Benefit と重み付けによる感度分析の結果

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また,本研究では年齢別,CHADS2 スコア(1 点:うっ血性心不全,高血圧,年齢,糖尿病,2 点:脳梗塞)別に NCB を検討しており,年齢,CHADS2 スコアが高いほどワルファリンの Net Clinical Benefit が大きい,すなわちベネフィットが大きいことが示されている(図3-3).このように,様々な患者背景でベネフィット・リスクを検討することは,薬剤プロファイルを確認するためにも有用であると思われる.
それでは次はどう考えるのだろう。ツイッターから得た論文です。
net clinical benefit=[IRischemic stroke_OAC+w1IRsystemic embolism_OAC+w2IRmyocardial infarction_OAC+w3IRhemorrhagic stroke_OAC+w4IRmajor extra‐cranial bleeding_OAC]−[IRischemic stroke_no OAC+w1IRsystemic embolism_no OAC+w2IRmyocardial infarction_no OAC+w3IRhemorrhagic stroke_no OAC+w4IRmajor extra‐cranial bleeding_no OAC]