ruruuunのブログ

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日本の診療ガイドラインとNICEのガイドラインはどう違うの?EBM-tokyo参加まとめ

診療ガイドラインをどのように利用するか。

 

日本の診療ガイドラインはNICEのガイドラインとどう違うのか。

ある一定の基準で作成されているのか。

 

一つの仮想症例をもとに診療ガイドラインを考えてみる。

 

仮想症例

ポイント!!

仮想症例からPICOをたてる時は患者さんが主語になるように作成する。

P:79歳男性、最近、怒りっぽくなって家族に乱暴したりするようになった中等度アルツハイマー認知症(ドネペジルをすでに服用している)の患者さん

I:メマンチンを追加して服用するのと

C:メマンチンを追加して服用しないのとでは

O:・アルツハイマー型の認知症の進行を遅らせることができるか。

 ・家族に乱暴しないようになるか。

 ・施設に入所することを遅らせることができるか。

 

*チューターさんより

話し合いの中で、考えつくアウトカムがいくつも出てくることがわかってもらえましたか?

ステマティックレビューではアウトカムをたくさん上げて、どのアウトカムが重要性が高いか精査します。

 

【1】さて!日本の、認知症疾患診療ガイドライン2017をまずAGREEⅡで形式評価をしてみましょう。

 

日本のガイドライン

認知症疾患診療ガイドライン2017|ガイドライン|日本神経学会

 

★AGREEⅡとは?

診療ガイドラインの形式評価をするもので、6ドメイン23項目についてそれぞれ7段階で評価を行う。次にリンクを示す。

http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/guideline/pdf/AGREE2jpn.pdf#search=%27AGREEⅡ%27

 

こちらに沿って事前課題で評価したが、全くなされていない項目や一部分のみ満たしている項目があることに驚いた。

ただ、ある、なしはわかったが7段階に評価をつけるのは、初学ではなかなかできるものではないなと感じた。

→みんなで評価してみて、はっきりしたことは、満たしている項目が少ないということ。

例えば、

・専門医以外に、その他の医療職が入っているか。

・検索に用いたデータベース、検索期間など網羅的に集められているか。

エビデンス総体の強固さと限界が明確に記載されているか。

・推奨文を作成する方法が明確に記載されているか。

・推奨文とそれを支持するエビデンスの対応関係が明確化。

などなど。

 

【2】GRADE systemの復習

★GRADE systemとは?

診療ガイドライン作成の国際標準ツール

診療がどラインを作成するにあたってはまず、システマティックレビューを作成する必要がある。

→ここで仮想症例のときにアウトカムがいつくか挙げられたことを思い出す。

このように挙げられたアウトカムごとに(アウトカムベースで)システマティックレビューを行い、アウトカムごとにエビデンスの質を評価するという手順をふむ。

 

ポイント!

アウトカムごとでないと推奨文の書き方が変わってくる!

 

★推奨文とは?

例えば

推奨:抗凝固療法の適応がないがん患者に対して、非経口抗凝固療法を行うことを提案する

 

まず!推奨の方向は「する」か「しない」かのどちらかのみ。

推奨の強さも2段階「推奨する」(強い)か「提案する」(弱い)

 

従って上の例では

推奨の方向は「する」

推奨の強さは「提案する」(弱い)

ということになる。

 

 

【3】診療ガイドラインの推奨を読んでみよう。

仮想症例に該当するCQの日本のGLでは?

P224から参照

4.AChEiとメマンチンの併用

f:id:ruruuun:20181024212648j:image

 

ご覧の通り、私のチームでは次の点が問題としてあげられた。

・日本のはアウトカムベースになっていない。

・有意差があるとの記述はあるが効果推定値の記載がないので判断できない。

・根拠をたどるのにその後に記載されている本文献を一つ一つ読者が読まないとわからない。

・「序」に次のような記載があるが、GRADEアプローチで行っているとも書いていないので基準がわからない→ここは湯浅先生の講義から

 →こういった場合はブラックボックスの中を疑うべき!!とのこと

 

さて、NICEのガイドラインを読んでみよう!

まず推奨文

f:id:ruruuun:20181024200126p:plain

 

今回の仮想症例にぴったりであり、かつ明確。

ちなみに、NICEの用語として決められているのは

consider:弱い推奨

offer:強い推奨

 

こちらの推奨文の根拠となっているのか次。

結果が一人歩きしないように、一覧表になっている。一部抜粋。

アウトカムごとになっているのがわかる。エビデンスの質の評価があり、右側から2番目のカラムに効果推定値が記載されている。

f:id:ruruuun:20181024200634p:plain

ここで、GRADE systemのアウトカムごとのエビデンスの質の評価についての講義があったが割愛。

 

上の表はアウトカムごとにエビデンスの質を評価されているのでブラックボックスの中身は大丈夫の判断で、表の右のカラムのeffect sizeとqualityのみ評価すれば良い

NICEとコクランレビューなら途中の評価は飛ばして、効果推定値とエビデンス

の質のみを評価すれば良い。

  

また、次のようにフォレストプロットが付いていて、視覚的にもわかりやすくなっている。一部抜粋。

f:id:ruruuun:20181024201705p:plain

 

結果をまとめると、

moderate to severe ADで有意差のついたアウトカムは

ADL,CIBIC plus,NPI

全般的な臨床症状の変化、介護者による精神症状を評価するための方法など。

有意差のつかなかったアウトカムは

ADAS-cog,MMSE,SIB,adverse events,mortality

認知機能の評価尺度、有害事象、死亡

 

中等度から重度の認知症患者がAChEiにメマンチンを追加して服用しても、認知機能の改善は期待できないかもしれないが、ADL、BPSDの症状の改善は期待できるかもしれない。

 

★ここでチームで議論となったこと。

例えばNPIはMDで -3.19[-4.83,-1.56]

合計120点満点のスコアで、-3.19がどのくらいの臨床的意義を持つのだろうかということ。

推奨文の根拠となっているのが、事後解析によるものであるということ。

事後解析によるもので推奨文が作成されているのは、問題ないのだろうか?

根拠となったのは次。

f:id:ruruuun:20181024204143p:plain

推奨文:

offer memantine in addition to an AChE inhibitor if they have severe disease

 

 

同じチームの医師に教えていただいたこととして、その他にも中止した時の有害事象のフォレストプロットもあり、してもしなくても有意差ないから、AChEiを中止しても問題はなさそうだねということ。

抜粋。

f:id:ruruuun:20181024204636p:plain

 

  • チームの見解●

EBM実践の4要素に診療ガイドラインを組み込んで自分の患者にどうするか

チームでは、日本のGLでなくNICEのGLをメインに考えていくことに。

・中等度認知症なのでメマンチンを追加服用することを考慮していく。

・患者の意向は、おそらく、ADLを保ちたい、BPSDはなくしたい。

・臨床経験からは、メマンチンは、攻撃的な行動を和らげる効果を感じるし、やめても有害事象はないことから、まずは服用してみて効果ないようならやめてもいいのでは?と。

 

だが、ここでニャンゴ先生から

メマンチンを追加して、追加しないのと有意差がないからといって、有意差がなかったアウトカムで本当に変わらないかはわからないのだから、まずは使ってみるということには危険を感じる。

ドネペジルをまずやめるという選択肢が有ってもいい。

 

☕️考察

中等度ではドネペジルに追加で、メマンチンを服用するのが考慮されるという推奨文なのだし、BPSDの評価のアウトカムでは改善が見られる傾向なのだから、本人家族が希望すれば追加服用でもいいんじゃないか。

 

ここでまたニャンゴ先生

家族、本人の希望はどこからくるのかをよく考えること。どうして希望するのかを明らかにした上で訂正したり、使わないという選択を説明したりする。

有意差がないだけで悪くなる可能性もあるのだから。と。

 

☕️考察

深い。。

ここまで来て忘れていたが、日本のGLははるか遠くに霞んでいた。もちろんMinds2014に従っているGLもあるだろう。今回の課題では、NICEのGLの方が仮想症例の患者にどう適用していくかを考えるには適していたし、また、ここまでの情報がGLからわからなければGLを読んだとしてもとても適用はできないということだ。

 

だから!今のところはGLではとても適用できないとなったらNICEのGLや一次資料を当たらなければならないんだ!!

 

この後、利益と害、ネットベネフィットについてさらっと説明があったが今後に自分の課題とする。

・以前の関連する記事

ruruuun.hatenablog.com

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