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がんと感染症(発熱性好中球減少症)

もし、固形がんで化学療法を受けている患者さんから、38℃の熱が出たと電話連絡を受けたらどうしますか?
 
目標:
固形がんで化学療法を受けている患者の、低下する免疫について学ぶ。
発熱性好中球減少症のリスク分類について学ぶ。
低リスクに該当し、外来で経口抗菌薬治療となった場合の治療について学ぶ。
自分のやるべきことをまとめる。
 
次のサイトを参考に勉強してまとめます。
また、日頃経験することの多い固形がんについての感染症のリスクについて学んでみようと思います。
 
免疫不全の状態を4つ(バリア・好中球・液性免疫・細胞性免疫)のカテゴリーに分けて考える
 
原疾患(がん種)によって,または化学療法の方法などによって,低下する免疫が異なってくる。今回はどのような場合にどの免疫が低下するのか,すなわち「免疫の壁」が崩れてしまうのかについてのまとめ。
 
1.バリアの破綻
バリアとは,皮膚や消化管・呼吸器・泌尿器などの粘膜による防御システム。がんそのものによる浸潤や閉塞,手術,放射線療法,化学療法,カテーテル挿入などにより,そのバリアが破綻すると,本来,自分の体表面や管腔内にいる微生物が体内に侵入し,感染を引き起こすケースがある。
 
例として、中心静脈カテーテルにより皮膚のバリアが破綻し,皮膚に常在していた黄色ブドウ球菌カンジダカテーテル関連血流感染症を起こす。または,化学療法によって腸管粘膜のバリアが破綻して,腸管内に常在していた腸内細菌やカンジダがbacterial translocationを引き起こす。
 
症例(サイトから)
 58歳女性。腹膜播種を伴う進行性胃がんに対して積極的な治療は行わず,3週間前に中心静脈カテーテル(左鎖骨下静脈)を挿入し全身管理を行っている。今回,悪寒を伴う37.8℃の発熱あり。頭頸部,胸腹部,背部,四肢に明らかな異常なし。カテーテル刺入部にも発赤や疼痛は見られない。カテーテルと末梢から同時に採取された血液培養からはいずれもコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(Coagulase-negative staphylococci;CNS)が検出されたが,血液培養陽性時刻はカテーテルでは13時,末梢では17時であった。
CRBSIの診断 
①血液の定量培養:必ずカテーテルと末梢から同時に同量の血液培養を採取 
DTPカテーテルの血流培養は末梢よりも早く陽性(DTPが2時間以上)
2.好中球減少症
 
まず、
発熱性好中球減少症(FN)の定義は
●末梢血好中球数 
 500/μL未満,もしくは 
 48時間以内に500/μL未満となることが予  
 想される
●発熱 
 口腔温が38.3℃以上,もしくは 
 口腔温が38.0℃以上が1時間以上持続 
 (日本では腋窩温が37.5℃以上,もしくは口腔温が38.0℃以上)
MASCCスコアについて
 
 
★FNはリスク分類をして考える
 
 
好中球減少
MASCCスコア
がん種
起因微生物
低リスク群
500/μL未満<7日
21点以上
固形腫瘍
細菌感染症、バリアの破綻があればカンジタも。
中リスク群
7日<500/μL未満<10日
 
悪性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫
細菌感染症に加えて、HSV/VZV,
真菌感染症ではカンジタがメイン
高リスク群
500/μL未満が遷延する
21点未満
急性白血病、骨髄異形性症候群、同種造血幹細胞移植
細菌感染症、ウイルス感染症に」加えて、真菌感染症が増える。カンジタ、アスペルギルス、ムコール
 
症例(サイトから)
 58歳男性。胸部食道がんに対して抗がん剤フルオロウラシルとシスプラチンで外来治療中であり12日目。他に基礎疾患はない。本日38.6℃の発熱があり受診。全身倦怠感,軽度の嘔気と食欲低下があるものの,その他の症状はなし。ややぐったりしている。意識清明,血圧 118/68 mmHg,脈拍数 102/分,呼吸数 20/分,SpO299%。口腔粘膜やや乾燥しているが粘膜障害なし。その他,頭頸部,胸部聴診,背部,腹部,四肢,皮膚に明らかな異常なし。好中球250/μL。肝機能障害,腎機能障害は見られない。
 
 症例1は好中球減少が7日以内と想定される低リスク群の発熱性好中球減少症(FN)
 MASCCスコアは21点(中等症と脱水)。FNではReview of System(ROS)と緻密な身体所見が非常に重要だが,明らかな感染源がわからないことは往々にしてある。その多くが管腔や皮膚などバリアが破綻した場所からのbacterial translocationだと考えられている。今回も消化器症状があり,消化管に常在する微生物が関与している可能性がありそう。
 
 
CQ:重症化するリスクが低いFN患者に対して、経口抗菌薬による治療は可能か?
 
1)FN発症時に低リスクである確認が必須←ここ特に大事
次の論文を読んでみる。

癌化学療法と関連した熱性好中球減少症の外来患者管理:リスク層別化と治療レビュー

MASCCスコア、Talcott’s rulesで低リスクで、かつ、心血管、呼吸器、肝臓、腎臓、消化管などにリスク因子のない症例が対象となる。MASCCリスク指数は、感度および陰性適中率の点で優れていたが、特異性は劣っていた。誤分類率はTalcott分類の2倍だが、使用は簡単。
 
 
感度
特異度
LR+
LR-
タルコット分類
0.32
0.92
4.0
0.74
MASCCスコア
0.80
0.71
1.1
0.28
 
 
 
上記の論文では、MASCCスコア≧21で低リスクと分類された患者の最大11%、およびタルコットのグループ4の患者の7%で重篤な合併症が発症したことを示した。
これらの要素のいずれかが当てはまる場合、FNEに対する経験的療法の入院患者管理を推奨するとのこと。
 
いずれにしても、スコアだけでは、低リスク患者が重症化する恐れがある一定の割合であることを念頭において経過を見る、または、危険の少ない選択肢を取ることが肝要と思われる。
 
2)治療
経験的経口抗菌薬治療としては、シプロフロキサシン+アモキシシリン/クラブラン酸併用療法である。
用量;シプロフロキサシン 200mg  1日3回
   アモキシシリン/クラブラン酸 250mg/125mg  1日3〜4回
 
フルオロキノロンは単剤では推奨されないのか
・シプロフロキサシンはグラム陽性菌に対する抗菌活性が弱い。
・モキシフロキサシンは緑膿菌に対しての抗菌活性がやや弱く微生物学的な治療失敗率は2剤併用療法より高かった。(日本のガイドラインでは下記の論文をこのように記載)
上記論文ではMASCCスコア21点以上の低リスク群FNに対して,モキシフロキサシン単剤投与群と従来のシプロフロキサシン,アモキシシリン・クラブラン酸の併用群による前向きのランダム化比較試験が行われ,治療成功率や死亡率に差はないものの,モキシフロキサシン群で消化器症状が有意に少ないことが明らかに。(医学書院のサイトより)
台湾のコホート研究
アモキシシリン - クラブラン酸塩治療と比較して、アジスロマイシンおよびモキシフロキサシンの使用は、心室不整脈および心血管死のリスクの有意な増加と関連していた。 心室不整脈に対する調整ORは、アジスロマイシンが4.32(95%CI、2.95-6.33)、モキシフロキサシンが3.30(95%CI、2.07-5.25)、レボフロキサシンが1.41(95%CI、0.91-2.18)
 
再度この論文より
 
薬剤師の役割
FNの経験的治療が開始されると、薬剤師は患者の教育において重要な役割を果たすことができます。教育には、適切な保管、投与、および経口抗菌薬の一般的な有害作用だけでなく、治療を遵守することの重要性も含めるべきです。さらに、患者はフォローアップ計画を理解する必要があります。それには電話による連絡と診療所への訪問の両方を含み、医療施設への患者の即時帰宅を必要とする徴候と症状に対処する必要があります。
外来FN治療のフォローアップ段階では、薬剤師は集学的チームと協力して患者を監視するか、または共同診療契約を通じて独自に作業することができます。モニタリングには、治療反応、毒性、および順守に関する評価を含める必要があります。さらに、(培養結果に基づいて必要に応じて治療法を変更して)あらゆる培養の結果を監視することは、追跡調査ケアの重要な部分です。
 
[まとめ]
もし、固形がんで化学療法を受けている患者さんから、38℃の熱が出たと電話連絡を受けたらどうしますか?
・リスクを考察しながらも医師にその旨を伝える。なぜなら、リスク判定後、FNは内科的緊急疾患の一つであるため,診断から60分以内の広域抗菌薬投与が求められるからである。
・低リスクで外来での経口抗菌薬治療開始となったら、適切な時にフォローアップして確実な服薬の確認と、医師へのフィードバックをルーチンワークとして行う
 
今後に生かそう。
最後までお読みいただきありがとうございます。