ruruuunのブログ

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腎機能推測のピットフォール

日頃、腎機能を推測するのに、苦慮するので月間薬事2019 10月号をよーく読んでまとめてみた。
 
●基本
腎機能が安定して正常値の患者では
GFRの最大値は100mL/min
Ccrの最大値は120mL/min
 
★Cr値が正常、高値でも筋肉量の低下の影響はある
60-100mL/minの間と推測されたなら
→筋肉量が低下していることが明らかに疑われるなら、腎機能が低い方向に少し幅をもたせて評価
→患者個々の腎機能の上限を見積もる
 
★推算式の弱点からヒントを得る
たとえCKD患者であっても基本的には個別化eGFR<eCCr (Crは尿細管分泌されるため)
もし個別化eGFRの方が高かったなら、すでに腎機能評価の上で、スペシャルポピュレーションと言える。
なのでそのように乖離があり、かつ、目的とする腎排泄型薬剤の過量投与がどれほどハイリスクなのかにもよるが、一般的に言われる
「腎排泄型薬剤の添付文書におけるCCrを個別化eGFRに置き換えて投与設計する」
と言うやり方は、場合によっては当てはめられないということになる。
 
メモ:
eGFR(個別化)≒cCCr(酵素法)x0.789 (若者のみ)
                         ≒cCCr(ヤッフェ法)
腎機能低下時は変換しなくても近い値になる
 
 
★腎クリアランス以外の患者背景からヒントを探る
腎機能障害の進行とともにさまざまな合併症が現れる。
腎性貧血、代謝性アシドーシスなど
代謝性アシドーシスの鑑別を目的とした静脈血ガス分析の追加は、CKDステージ4から定期的に行うことが推奨
エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン
→CKD進行に伴う、代謝性アシドーシスを合併している場合はCKDステージG4,つまりGFR 30ml/minまで低下している可能性を考慮
 
添付文書の腎機能表記のピットフォール
⭕️事例1
80歳 女性
【身体所見】身長147cm 体重 39Kg
【血液検査】血清Cr値 1.0mg/dL
3年前に脳梗塞から車椅子生活→胸部不快感、動悸→入院精査後、心房細動→ダビガトラン処方に。
 
ダビガトランの添付文書から
軽度:50<CCr(mL/min)<80        1回150mg1日 2回
中等度:30<CCr(mL/min)<50  1回110mg1日 2回
高度:<30mL/min                  禁忌
 
解説
ダビガトランの添付文書の腎機能別投与設計がヤッフェ法なのか酵素法なのか明記されていない
そこで、次の2パターンで考える
1.eCCr(ヤッフェ法)
個別化eGFRで評価:29.9mL/min
2.eCCr(酵素法)
そのまま評価:27.6mL/min
 
→禁忌を考慮する値であった。
  
✅添付文書の腎機能別投与量がeCCrなら、まずは両方で(ヤッフェ法=個別化eGFR、酵素法によるeCCr)算出し評価するのがより安全!
 
 
添付文書の腎機能別投与量表記
 
 
標準化eGFR
mL/min/1.73㎡
eCCr(ヤッフェ法 mL/min
eCCr(酵素法) mL/min
標準化eGFR
mL/min/1.73㎡
そのまま適応※
個別化eGFR
eCCr(酵素法)
そのまま適応
※体格が極端に標準から外れていれば体格補正を考慮
 
✅添付文書の腎機能別投与量がeGFR(mL/min/1.73㎡)で表示されているが、極端に標準から外れている体格の患者に使用するときは、基本的に、標準化、個別化両方の値を考慮した上で判断。
 
→ここ大事。実際に日本人の体表面積の範囲では(1.2-2.2㎡)では、標準化eGFRと個別化eGFRの差の範囲は0.7-1.3倍であることも忘れない。
 
 
✅極端に過量投与、過少投与にならないこと。ただしハイリスク薬や標準体型から極端に外れている患者では厳密に管理
 
例)投与量変更付近の場合
→重症感染症など生命に関わる病態などの治療薬なら投与量を多い方に
→慢性疾患、病状が安定した疾患の治療薬で副作用の危険性が高いなら投与量を少ない方に。
 
⭕️事例2(肥満)
肥満とはBMI>25kg/㎡
CG式における体重は、体内でCrを産生する臓器である筋肉量の指標を意味する。
肥満患者は非肥満患者に比べ相対的に筋肉量が少ないため、実体重を用いると過大に見積もることになる。
ただし、明らかに過体重でもその前にチェック
✅高度な浮腫状態ではないか
浮腫の鑑別の勉強は以前勉強したので割愛。 
血清アルブミン値やナトリウム値を確認する。
 
70歳 男性
【身体所見】身長160cm 体重 76Kg
【血液検査】血清Cr値 1.07mg/dL
10年以上前から2型糖尿病 メトホルミン服用中。普通の生活を行っている。自立。
メトホルミンは標準化eGFRで規定されている。
標準化eGFR 53.22mL/min/1.73㎡
 
患者の体表面積は1.79㎡なのでそのまま解釈してメトホルミンの最大用量をチェックする。
 
⭕️事例3
80歳 女性
【身体所見】身長140cm 体重 60Kg
【血液検査】血清Cr値 0.61mg/dL
胃がん S-1術後化学療法 自立 通常の生活を送っている
BMI 30の肥満に該当するので補正体重で計算
ヤッフェ法 CCr  51.75mL/min
酵素法       38.97mL/min
S-1の発売年からヤッフェ法でのCCrで規定されていると判断。
上記表からヤッフェ法での時は個別化eGFRで置き換えても良いとのことから二つの値を比較する。
eGFR 59.58mL/min
50-60の間ではないかと推測、他副作用や、患者の状態も合わせて考えるが腎機能からは1段階の減量で良い。
 
 
ラウンドアップ法のピットフォール
・基本
腎排泄性薬物の過量投与を避けるために日本だけでなく国際的に行われる手法だが有効性について、科学的根拠はない。
ラウンドアップ法は安全性を重視していて有効性は軽視されている。
 
✅血清クレアチニン値が低値の時に推奨されるのは、
 24時間蓄尿による実測クレアチニンリアランス、または、血清シスタチンC値による推算糸球体濾過量を使った腎機能評価である。
 
✅腎排泄性ハイリスク薬を投与する時に上記二つが使用できない時にラウンドアップ法が用いられることがある。
✅CG式は加齢に伴って血清Cr値が上がらなくても(低値であっても)腎機能が過大評価されにくい式である。
 CG式を作成するための対象者に加齢に伴って、腎機能が低下しサルコペニアも進行した患者が多く含まれていたから。p63より
 
ラウンドアップ法を使う時にまず!!
筋肉量減少の影響を見積もる。
バーセルインデックスや、FIM(機能的自立評価法)で身体機能評価を見積もる。
薬局ではサルコペニアの診断基準よりバーセルインデックスが使いやすいかも。
閾値は60点(完全自立と部分自立の境目)60点以下だと、身体活動度の低下に伴った筋肉量減少を考える。
 
バーセルインデックス
 
✅eGFRは血清クレアチニン値が正常、または高値の人の推算には優れるが、低値(サルコペニア)の腎機能推算には適さない。
 
どうしてこんなに複雑に絡み合っちゃったのかと思いますが少しはすこーしは整理できたかな。
間違いあればご指摘ください。